優和スタッフブログ

マンションオーナー

最近、街中にまとまった土地を持っているお客様のところに複数のマンション建築業者が
マンションを建てないかときています。
確かに、京都の中心部(特に田の字と呼ばれる地域)は人が戻ってきており、かって閉鎖に
より統合された小学校が一転、児童の転入増でいっぱいになっていると聞きます。
ただ、その建築計画を見ているといくつかの疑問も浮かんできます。
まず、一般的に見られる借り上げタイプの場合、入居者も探してきますという物でオーナー
にとっては定額の収入が見込めます。
しかし、中には利回りで考えると ハテッ? と悩むものもあります。
今回のお客様の場合は、土地を所有しているにも関わらず、建築費に対する収入利回りは
4%弱です。建築鋼材が値上がりしているので早くしないと4%を下回ると言われています。
この金利上昇局面でこの利回りではなんのためにマンションオーナーになるのかわかりません。
京都市内ではなかなか見なくなりましたが中古物件なら土地建物こみで投資額に対し5%以上、
昨年までなら7%以上が探せばある状態なのにです。
当然、そのお客様も、借金して、なんらかのトラブルがあるかもしれない物件所有者になるより
駐車場の方が利回りがいいんじゃないか となるわけです。
その疑問を建築業者にしましたが回答はありません。
もちろん、相続対策であったり、返済がおわれば資産が残る。または、次なる事業の借入担保に
なる等々の目的がありますし、子どもに収入源を少しでも残したいとの親心もあるでしょう。
そういった総合的な提案をしてくる優良な業者もあります。
学生専用マンションなどは家賃滞納の心配が少なかったり、定期的に入れ変わるので
礼金等も他より多く見込めます。それぞれの案件に対してのチェックが必要です。
私たちの仕事はそこにあります。
ただ、マンションオーナーになったからといって必ずしも、生活にゆとりが持てる訳ではない
案件・実際の事例も多々あります。
なぜ、そのような案件でもマンションオーナーになろうとする人が多いのか? その理由の一つが
次の事例から見えてきます。
やはり、お客様が知り合いの方から相談を受けました。
老夫婦で暮らしておられたが、旦那さんが亡くなられました。国民年金しか収入はありません。
「私は一体どうやって生きたらいいの?」と奥さんが嘆かれているというものです。
奥さんには生命保険金3千万と住宅土地(街の中心に近く土地の推定価格5億円)があります。
お子さんはそれぞれ独立されています。
まわりから見れば、りっぱな資産家です。でも、生活はつつましいものです。
奥さんからすれば土地を売るとか、借入(いくつかの銀行が出している亡くなられたら物件を
処分して返済するタイプ)をするという考えはまったくなかった訳です。
この方は良き相談者がいなければ、国民年金だけでぎりぎりの老後を送られていたことでしょう。
おそらく日本中にこのようなケースが溢れているはずです。
そこにマンションを建てませんか? という話が出てくるわけです。
マンションオーナーにはなって見ないと分からない問題や悩みもあります。先ほど書いたような
金利上昇局面になってくると逆ザヤもありえます。住宅ローンで未払利息が毎月積みあがる恐怖など
忘れてしまったのでしょうか?
昨日のような地震も心配されます。地震保険は必ずしも再建築費用の全額が出るとは限りません。
不動産があるんだから毎月収入の得られるマンションオーナーになりませんか? とは
土地神話の強い日本人特有の性格なのか、はたまたマンションオーナーという響きなの
か、かぎりなく魅力的なものかもしれませんが、お金の悩みから解放されるチャンスを逃して
いるように見えて仕方ないのは私だけでしょうか?
京都本部 吉原


アーカイブArchives
ページ上部へ戻る