優和スタッフブログ

実は 宝の山

 近々、実家に家族が集まることになりました。両親の記念すべき誕生日という理由もありますが、山歩きしやすい靴で帰ってくるようにとのお達しです。中国山地のど真ん中ですから、まわりは山だらけ。実家の所有林は、大体の場所(あの山の北斜面とか)は知っていても正確には知りません。家族にとってのひとつの儀式です。
 実は、正月にも軽く近くを回りました。鬱蒼とした森に清流が流れる。子供のころ、獣の声がして河童だと大騒ぎして逃げ帰ったりした場所でしたが、ほとんどの木が切られていました。
 結構、ショックでした。
 ただの斜面、申し訳程度に苗木が植えられています。私の年齢で、かつての森を見ることはもうないでしょう。なんで切ったんだろうと疑問に思いました。木材の値段は下がり、林業従事者は最盛期の5%以下と不況業種の際たるものといわれ、切り出せば赤字なのにと。切らせてくれという依頼が延々とくるからという理由です。伐採も間伐も補助金がでます。林業従事者にとっては大事な収入源です。山主の負担なく、手数料は貰えるノーリスクです。
 ここで あれ?と思いました。市場価格が安いから売っても赤字。1日仕事に8万の補助金が出て、作業の手数料が5万です。時には道をつけたり、搬送のための費用もかかるのですが、ここは仕事柄、なぜ、外注する! 1日仕事で補助金なしでも儲かるんじゃないのか と。まぁ、両親は高齢ですから外注するしかないのですが。
 いろいろと調べてみると。まず、森林蓄財は世界最大という言葉が出てきます。これは、木材用としてつかえる立木がどれだけ山林に残存しているかを示します。高度成長期に刈り尽くされ不足分を外材自由化。 価格は一気に下がり林業従事者は減る一方というこの3~50年の間に世界最大にまで戻っていたのです。
 でも、価格がとなりますが、実は代表的な日本の杉と北米産ツガでは輸入木材の方が高いのです。 安定した量を供給できないから価格交渉力がないのでしょうか? 組織が弱いとも言えます。補助金の使い方を間違っているということでしょうか。
 近年は土日に少しだけ自分で伐採して市場で売る兼業が増えています。月に10~30万の収入があり、副業とは呼べないレベルです。自分で切って売れば実はそんなにコストがかからないと分かったのです。ついでに森林の維持もできる。 まさに無駄な補助金のおかげかもしれません。俄然、次の代につないでいく業とも思えた山々が宝の山に見えてきます。
 私達の業界にも今、補助金の風が吹いています。経営支援、最高300万の手数料補助です。とにかくなんでもかんでも300万まで出るから300万以上を請求する風潮です。実のある補助金にしていかなければなりません。
京都本部:吉原


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