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配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しに伴う年末調整の提出書類

平成29年の税制改正により、配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しが行われ、平成30年分以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しが行われました。

 

これに伴い、平成30年の年末調整より、会社が従業員に提出を求める書類が従来の2種類から下記の3種類になります。

 

1.給与所得者の扶養控除等申告書

2.給与所得者の配偶者控除等申告書

3.給与所得者の保険料控除申告書

 

改正に伴い各申告書の追加項目は下記のようになります。

 

まず、配偶者控除は、改正により、給与所得者の合計所得金額に上限額(1,000万円)が設けられ、上限以下の所得金額については3段階に区分し、所得控除額を逓減させる仕組みとなりました。これに伴い、「給与所得者の配偶者控除等申告書」 では、給与所得者及び配偶者の合計所得金額の見積額の計算表や判定区分、控除額の計算欄等が追加されました。

このうち、見積額の計算については、直近の源泉徴収票や給与明細書を参考に記入するようになります。また、企業測は、従業員が申告書に記載した配偶者の合計所得金額の見積額について、その金額が適正額かどうか後日、配偶者の給与明細などの提出などをを求めなくてもいいようです。

 

 「給与所得者の保険料控除申告書」については、小規模企業共済等掛金控除欄において、従来、個人型及び企業型年金加入者掛金とされていましたが、平成30年からは、確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金と確定拠出年金に規定する個人型年金加入者掛金の欄に区分されています。

 

配偶者控除及び配偶者控除の見直し及び年末調整の申告書等の様式及び記載例については、

下記のURLを参照してください。

 

https://www.nta.go.jp/users/gensen/haigusya/index.htm

 

また、配偶者控除及び配偶者控除の見直しに関するFAQが国税庁から出ているので下記のURLを参考にしてください。

 

https://www.nta.go.jp/users/gensen/haigusya/pdf/koujo_faq.pdf

 

 

東京本部 佐藤


役員退職給与の損金算入限度額について

 

 実務上、役員退職給与の損金算入限度額の算定にあたっては功績倍率法(役員の職責に応じた倍率)により算定することは一般的に定着しているところですが、平成29年税制改正で法人税基本通達9-2-27の2が創設されるまでは、功績倍率法という文言、定義については、過去の判決での明示に留まり、法令や通達で明文化されていませんでした。

しかし、この通達が創設されたことにより初めて「功績倍率法」という文言とその定義が示されました。

 同通達によると、功績倍率法とは「役員の退職の直前に支給した給与の額を基礎として、役員の法人の業務に従事した期間及び役員の職責に応じた倍率を乗ずる方法により支給する金額が算定される方法をいう。」と定めています。

 ここでいう功績倍率には、過去の判決で示されている同業類似法人の功績倍率のみでなく、自社で設定した功績倍率等も含まれるとのことであり、これらを基に算定した役員退職給与についても、その金額が過大つまり不相当に高額でなければ、原則損金算入が認められるとされています。あくまで、この通達で示されている功績倍率法による役員退職給与は、業績連動型の役員退職給与に該当しない類型のひとつを示したものであり、役員退職給与の支給額が不相当に高額か否かは、これまでと同様に同業類似法人の支給状況や功績倍率などと比較して判断されることとなります。

 過去の判例によれば、役員退職給与における不相当に高額な部分の金額とは、以下の方法により適正額を算定した上で判断されています。

 

(1)平均功績倍率法

 

役員退職給与を支給した当該法人と同種の事業を営み、かつ、その事業規模が類似する法人の役員退職給与の支給事例における功績倍率の平均値に、当該退職役員の最終月額報酬及び勤続年数を乗じて、当該役員退職給与の適正額を算定する方法。

 

(2)1年当たり平均額法

 

同業類似法人の役員退職給与の支給事例における役員退職給与の額を、その退職役員の勤続年数で除して得た額の平均額に、当該退職役員の勤続年数を乗じて、当該役員退職給与の適正額を算定する方法。

 

(3)最高功績倍率法

 

同業類似法人の役員退職給与の支給事例における功績倍率の最高値に、当該退職役員の最終月額報酬及び勤続年数を乗じて、当該役員退職給与の適正額を算定する方法。

 

 東京高裁平成25年7月18日判決によれば、(1)の平均功績倍率は、同業類似法人の功績倍率の平均値を算定することにより、同業類似法人間に通常存在する諸要素やその個々の特殊性が算定の要素から外されることになり、より平準化された数値が得られることから法令の趣旨に最も合致する方法であると示され、また、(3)の最高功績倍率法については、同業類似法人の抽出が僅少であり、その法人と最高功績倍率が極めて類似している場合に限られる方法とされています。

 (2)の1年当たり平均額法については、東京高裁平成25年9月5日判決において、その役員の退職直前の役員報酬が大幅に引き下げられた場合など、平均功績倍率法を適用することにより不合理が生じる場合には合理的な方法とされています。

 上記の様に、役員退職給与の適正額の算定にあたっては、その法人の実態や諸要素、またその役員の特殊性などにより一概に判断することが難しいと考えられます。もし、役員退職給与の支給を予定されている場合は税理士法人優和までご相談ください。

 

東京本部 井上 賢亮


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