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租税特別措置法上の適用額制限の見直しと当初申告要件

  法人税額の20%を上限として控除できる租税特別措置法上の控除要件を満たしたために50万円控除できた。しかし、税務調査などで修正申告が必要となり、法人税額が100万円増加した。

 この場合、控除額の上限枠がさらに20万円以上あるとするならば、控除額を70万円にできるのだろうか?

 

結論から言うと昔はできなかったが、現在はできます。

 つまり、従来は50万円の控除で申告した申告書は修正申告で所得金額が増加しようが50万円以上の修正はできなかったのです。これが適用額制限といいます。

 この適用額制限の見直しがあり、現在では当初の申告では50万円だったものでも修正により法人税額が100万円増加した場合には70万円に訂正することができるようになったのです。

 

これに対し、本来なら税額控除を受けられたはずなのに、当初申告で適用していなければ更生の請求をしても認められないのが当初申告要件です。

 

ここで注意しなければならないのが適用額制限の見直しにより修正申告で変更ができるものでも、当初申告要件が必要なのにそれを満たしていなければ無意味であることです。

 

具体的に説明すると、所得拡大促進税制を適用して申告していれば税額控除が受けられます。しかし今回の申告では法人税額は少なそうだ。20%の法人税額の控除を受けられても僅少だし、この制度の算定が煩雑だ。だから今回は申告するのをやめておこうと考え適用しなかった。

しかし後日売上の計上漏れが判明した。金額は500万円で、この制度を適用していれば最大100万円の税額控除が受けられたはずであったが、当初申告の要件を満たしていないため、修正申告でこの制度の適用することはできず、最大100万円の税額控除は諦めなければならないことになります。

これに対し、僅少であっても当初申告をしていれば、後から修正申告に際し、法人税額が500万円増加したことで、当初の控除額の金額が仮に5万円であったとすると最大105万円まで控除額を訂正できることになります。

 

以上をまとめると、適用額制限の見直しは当初申告で計上した控除額を修正申告で訂正することができるのに対し、当初申告要件はこれを満たしていなければ、修正申告の際に改めて適用することができないという違いがあります。

 

茨城本部

大河原


非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除 (事業承継税制)のあらまし

国税庁のホームページに、「非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)のあらまし」が掲載されました。
 事業承継税制は、後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度です。
 平成30年度税制改正では、この事業承継税制について、従来の措置に加え、10年間の措置として、納税猶予の対象となる非上場株式等の制限の撤廃や、納税猶予割合の引上げ等がされた特例措置が創設されました。
 従来の措置と比較した要点としては、
①事前の計画策定等
従来は不要であったが、特例措置では5年以内の特例承継計画の提出が必要
(平成30年4月1日~平成35年3月31日)
②適用期限
10年以内の贈与・相続等
(平成30年1月1日~平成39年12月31日)
③納税猶予割合
100%
④雇用の80%維持要件
承継後5年間は平均8割の雇用維持が必要。
但し、特例措置として弾力化(下回った理由を報告することで容認される余地あり)。
特例承継計画を平成35年3月31日までに都道府県知事宛に提出し確認してもらいましょう。
仮に、この事業承継税制を適用しない場合であったとしても、可能性がある場合には提出しておくべきです。
また、贈与・相続時に提出するのではなく、事前に提出する点を注意すべきです。
計画を提出・確認した後に、実際の贈与・相続が発生した際に、円滑化法の認定を受ける必要があります。
また、一旦提出し認定を受ければ、以後の手続きが何もない訳ではありません。
継続届出書の提出があります。
具体的には、雇用の維持や贈与・相続により取得した株式を引き続き保有していることを届け出る必要があるのです。
仮に、当該株式を外部に売却してしまった場合や、後継者が代表権を有しなくなった場合等には、猶予されていた税額が利子税を含めて納付することとなります。
本税制を適用する際には、継続届出書を毎年提出すること、要件を満たさないと課税されてしまうことを注意するべきです(認定後5年間は毎年、5年目以降は3年ごとの提出)。
贈与により株式を受け取った場合に、先代がなくなると、相続税の納税猶予へ移行することになります。この際の計画認定は、既に贈与時に認定を受けている為、不要となります。
会計事務所としての仕事をしている中で、清算・廃業の件数が増加傾向にあることを感じています。
中小企業庁が公開している中小企業白書によると、小規模な企業数の推移として、1999年が423万社あり2014年には325万社まで減少しているそうです。
2009年~2014年の開業が66万社、廃業が113万社となっています。
これ以上の企業数減少に歯止めを掛けるべく、政府としても前向きに取り組んでいる姿勢を感じます。
弊所としても、顧問先の皆様に喜んでいただけるよう積極的に取り組んで参りますので、不明点など御座いましたら各本部担当者までご連絡ください。
最後までお読みいただき感謝申し上げます。
本原稿が皆様のお役に少しでも立ちましたなら幸いです。
茨城本部 楢原 英治


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