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優和ビジネスブログ

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「投資信託の個別元本方式」

少し前に確定申告が終わったので時期外れではありますが、今回は投資信託を保有されている方で疑問に思われたこともあるかもしれない個別元本方式についてです。コロナ禍で一時株価は落ち込みましたが、最近ではあまり関係なく(特にアメリカ)株価は上昇してます。

株については買った時の値段(+手数料)が取得単価になるので特に問題ないかと思います。

投資信託も基本は買った時の金額(+手数料)が取得単価になりますが、分配金(特別分配金)があった場合には注意が必要です。

毎月分配型の投資信託が出始めてしばらくたちますが、毎月分配金が出ていると常に儲かっているようでお得に感じてしまうと思います。しかし毎月分配金を出すには原資が必要です。ファンドが儲けた分から分配金が出るのであればいいですが、毎月儲かっているなんてことはあまりありません。ただし一度決めた分配金は改定するまで決定された金額を投資家に対して支払わなければいけません。

儲かっていない場合はどうするかというと元本を取り崩して支払います。これを通常支払われる「普通分配金」にたいして「特別分配金」といいます。

取引明細を見ていただくと「普通分配金」には税金がかかっていて、「特別分配金」には税金がかかっていないはずです。自分で支払った金額を返してもらうだけなので税金がかからないのです。

そして忘れがちなのが、「特別分配金」(元本返戻金)を受け取った場合は取得単価が再計算されます(他にも追加で購入した場合なども再計算されます)。これを『個別元本方式』といいます。特別分配金を受け取ったら元本の払い戻しがあったことで取得単価が下がります。

昔買った投資信託で基準価額が下がってしまって、最近少し戻ってきたから売ろうと思った時には個別元本がどうなっているかご確認ください。ずっと特別分配金を受け取っていた影響で売却損だと思っていたものが、利益がでて税金がとられることも多くあります。

ほとんどの方は特定口座を開設されていて売却した際に税金等の計算がされるので、確定申告にはあまり関係ないかもしれませんが、証券会社から届く年間取引報告書や残高報告書などはこまめに目を通すのが良さそうです。

興味・質問等ございましたら、ぜひ税理士法人優和までご相談ください。

東京本部 有本


自社製品を国等に寄付した場合の取り扱い

 ワクチン接種された方も徐々に増えていき、ようやく少し先が見通せる状況になりつつある現状ですが、そんな中、自社製品(マスクや消毒液等)を国や地方公共団体に寄付したという会社様もいらっしゃるかと思います。今回はその時の税務処理についてお知らせしたいと思います。

 まず寄付金の基本的な考え方ですが、「寄付金とは、内国法人が行う金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与をいい、その価額は、金銭以外の資産(以下、現物資産といいます)については贈与の時、経済的利益についてはその供与の時における価額によるものとされ、現物資産を贈与したときの寄付金の額は、その現物資産の帳簿価額ではなく、時価で計算する」ことが原則になります。

 このため、例えば時価100、帳簿価額40の現物資産を贈与して、会計上、「寄付金40/棚卸資産40」と仕訳した場合には、税務上においては、時価100で贈与したものとして、譲渡益計上漏れ60の益金参入、寄附金認容額60の損金参入が行われる結果、一般寄付金の場合は、寄附金損金不算入額(例えば50)の加算が生じます。

 今回は、寄付金の損金算入額に特例が設けられている法人税法第37条3項に規定する国等への寄附金等に該当しますので、上記の寄附金損金不算入額の加算調整は必要なく、所得金額は変動しません。

 ところで、自社製品を国等に寄付する場合でも「時価評価」が必要になりますが、顧客に対する販売ではなく、棚卸商品の贈与であることを考えると、利益を見込んだ販売価格ではなく、棚卸評価額をもって寄附金の支出額を計算することとしても差し支えないものと考えます。

 様々な形でこのコロナに打ち勝とう(コロナ対策に貢献しよう)と思ってらっしゃる企業の方も多いと思います。そんな時、税務上の取り扱いが気になるということがありましたら、是非、税理士法人優和までお問い合わせ下さい。

東京本部 木村


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