トピックス

優和ビジネスブログ

税理士法人優和の全国のスタッフが交代で、会計・税務に関する役立つ情報を提供しています。

在宅勤務に係る従業員の費用負担について

昨今の新型コロナの影響により在宅勤務する従業員が増えていると思います。これに関して国税庁が質疑応答集を公表したので、下記に代表的なものを記載いたします。

(1)在宅勤務手当について

在宅勤務に通常必要な費用について、その費用の実費相当額を清算する方法により、企業が従業員に支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税する必要はありません。

(2)在宅勤務に係る事務用品等の支給

企業が所有する事務用品等を従業員に貸与する場合には、従業員に対する給与として課税する必要はありませんが、企業が従業員に事務用品等を支給した場合(事務用品等の所有権が従業員に移転する場合)には、従業員に対する現物給与として課税する必要があります。

(3)業務使用部分の清算方法

在宅勤務手当としてではなく、企業が在宅勤務に通常必要な費用を清算する方法により従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税する必要はありません。

(4)通信費に係る業務使用部分の計算方法

 ①電話料金

 ・通話料 
  通話料(基本料金を除く)については、通話明細書等により業務のための通
  話に係る料金が確認できるので、その金額を企業が従業員に支給する場合に
  は、従業員に対する給与として課税する必要はありません。

 ・基本料金 
  基本料金につては、業務に使用した部分を合理的に計算し、この金額を従業
  員に支払うのであれば、給与として課税する必要はありません。

 ②インターネット接続に係る通信料

 こちらも基本料金と同じく、業務のために使用した部分を合理的に計算し、こ
 の金額を従業員に支払うのであれば、給与として課税する必要はありません。

書面の都合上、具体的な金額の計算方法等は、割愛させていただきますが、従業員とのトラブルを避けるためにも、具体的な支払方法や、計算方法を取り決めしておく必要があると思います。

ご不明な点等ありましたら、税理士法人優和までお尋ねください。 

東京本部 佐藤芳明


不動産管理会社の設立はいかがでしょうか

 『税金が高過ぎる!何か減らす方法ない?』顧問先に訪問し社長様と話していて良く言われる言葉です。ここで言う税金とは法人税ではなく所得税を指しています。例えば、給与所得における給与所得控除を見ても令和元年分迄は、上限年収1,000万円超の給与所得者について給与所得控除220万円が控除されていましたが、令和2年分以後は上限年収が850万円超と年収の上限が下がりさらに給与所得控除も上限195万円となったため高年収の給与所得者は実質増税となりました。

 今回のテーマは上記の様な給与所得ではなく、個人でマンションやアパートを貸している大家さんの不動産所得についての記載となります。

現在、所得税の最高税率は45%。さらに所得に対して住民税10%も課税されるので不動産所得がたくさんある大家さんの場合、所得の55%は税金の支払となってしまいます。例えば、大家さんの不動産所得が1億円あった場合、累進税率のため丸々55%まではいきませんが、それでも5,000万円近くが税金の支払いとなるでしょう。このように所得税は法人税などに比べ税率が高いためせっかくの不動産収入の大半が税金として消えてしまいます。

 このような不動産所得の多い大家さんの場合、不動産管理会社の設立が良いかもしれません。不動産管理会社にも色々なパターンがありますが、なかでも一番多いパターンである不動産管理のみを行う会社を設立した場合を見てみます。これは土地の所有者も建物の所有者も個人である大家さんのままで、会社はこの個人の大家さんから管理委託契約によって建物や土地の管理委託を請負い大家さんから管理手数料をもらう形態です。

 例えば、上記の大家さんを代表とする不動産管理会社を設立し、法人へ管理手数料として年間1,000万円支払ったとします。その不動産管理会社に支払われた1,000万円については、代表となった大家さんに対して会社から給与を支給し、給与所得控除を活用することにより税負担が軽減されます。仮に500万円支給したら給与所得控除は144万円なので、この144万円に所得税率を乗じた税額が軽減されたことになります。(今回の大家さんの場合は所得税、住民税合わせて約80万円の軽減。給与から給与所得控除を差引いた給与所得は他の所得と合算となります。)

また、法人へ支払った管理手数料のうち、代表である大家さんへ支給した給与以外については、親族を従業員として雇用し給与を支払うことにより大家さんより所得税率の低い親族へ所得の分散を図ることができます。もし同一生計の配偶者に給与支給する場合、個人事業のままでも青色専従者給与により経費計上はできますが、専らその事業に従事するなど様々な制約があり、その配偶者に他の給与所得がある場合青色専従者給与の適用はできませんので、このようなケースでも両方の会社から給与支給できる点も不動産管理会社設立のメリットといえます。

このように、不動産管理会社の設立は所得税額の軽減だけでなく、管理手数料を支払うことにより収入が分散するため個人財産の蓄積を防ぐことができ相続税対策にもなります。

 ただし、会社と個人間の不動産管理業務委託契約書、従業員の出勤簿、清掃チェック表、入居者一覧表、入金管理表、通帳や領収書などを適切に管理し、不動産管理業務が行われている実態があることが大前提となります。また、管理委託手数料を法人へどのくらい支払うかについても状況によっての判断となりますので、もし、不動産管理会社の設立にご興味がございましたらお近くの税理士法人優和までご相談ください。

東京本部 井上 賢亮


ページ上部へ戻る