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優和ビジネスブログ

税理士法人優和の全国のスタッフが交代で、会計・税務に関する役立つ情報を提供しています。

購入した中古アパートに行った塗装工事の処理について

 インバウンド需要も高まり、民泊など賃料収入を得る目的で不動産を購入する方も増えてきました。いわゆるオーナーチェンジで事業参入するケースもあり、その際に頭を悩ませるのが、購入後の修繕費の扱いです。

 中古の賃貸アパートを購入し、その直後に外壁塗装工事を行った場合、①建物の維持管理に必要な周期的な経費なので修繕費、②資産を事業の用に供するために直接要した費用の額なので取得価額に含める、の2つの処理が考えられます。

 その建物だけに注目すると、購入する前も事業の用に供されており、これについて支出する修繕費については、資本的支出もしくは修繕費の判定区分によるのではないかと思われます。ただ、法人税の昔の通達にはなりますが、以下のようなものがありました。

(旧法人税基本通達235)
  次に掲げるようなことのために支出した金額は、令第132条の規定を適用して資本的支出と修繕費の区分計算をしないで、その全額を修繕費と認めるものとする。
  ただし、自己の使用に供する等のため他から購入した固定資産について支出した金額又は現に使用していなかった資産について新たに使用するために支出した金額は、修繕費としない。
 (1)家屋又は壁の塗替
 (2)家屋の床のき損部分の取替
 (3)家屋の畳の表替
 (4)き損した瓦の取替
 (5)き損したガラスの取替又は障子、襖の張替
 (6)ベルトの取替
 (7)自動車のタイヤの取替

 この旧通達は例えば、中古の建物を購入してこれについて修繕を行って使用する場合の修繕費は、その建物にとっては修繕費であっても、購入した法人の立場から考えれば、その建物に修繕を行って初めて事業の用に供しうる建物としての機能を発揮しうるものですから、修繕費とすることはできず、建物の取得価額に算入すべきと整理したものと解されます。

 この取扱によると、今回の外壁塗装工事は②の処理となり、アパートの取得原価に含まれることになります。

 以上のように、通常の税務処理とは異なる結果になることもありますので、大きな設備投資の際には是非事前に税理士法人優和までご相談ください。

東京本部 木村


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