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法人への相続について

 相続というと通常は、その亡くなった方の配偶者や子供、兄弟などが故人の財産を承継することをいいますが、故人が生前に財産分けの意思を示すことによって、法人へ財産を遺贈することもできます。

 法人へ遺贈された財産について相続税はかかりません。それならばオーナー社長などは、個人所有の財産をすべて法人へ遺贈すれば税金がかからないのではと思いがちですが、その辺はうまくできていて、相続税がかからないかわりに様々な税負担が課せられることとなります。

 まずは法人税。要するに法人へ遺贈された財産は法人が無償でその財産を取得したこととなり、遺贈された財産に受贈益が計上され多額の欠損金がない限りその分について法人税が増加することになるという訳です。

 これだけではありません。個人から法人への遺贈についてはタダで財産を譲渡したとみなされ譲渡所得が課税されます。結局譲った側ももらった側も時価で取引されたものとみなされるわけであり、遺贈と言いながら税務上は譲渡と何ら変わりないのです。現預金の遺贈であれば譲渡所得はかかりませんが・・・。

 その他通常の相続であればかからない不動産取得税もかかり、登録免許税も通常の率で課税されます。

 もう一つ付け加えると法人が無償でその財産を取得することにより法人の株価が上昇しることによる他の株主への間接的な利益分について贈与税が課せられることも理論上は成り立つことから、注意が必要です。

 ただし、国、地方公共団体、一定の公益法人等への遺贈であれば法人税は当然のこと、遺贈した個人への譲渡所得についても租税特別措置法40条により非課税となりますので、将来相続人がいない場合などはご自身の意思をもって行うことができ有意義な選択肢となりえます。

 いずれにせよ遺言については納税額、個人の思惑等を総合的に考慮しながらより良い選択をしたいものです。

 埼玉本部 菅 琢嗣


接待交際費・福利厚生費・会議費についてまとめてみました

 コロナ禍の影響でしょうか最近めっきりと交際費なるものが激減していると実感しております。

 今回は、法人が負担する飲食代について検討してみようと思います。

 そもそも遊興としての性質が強い冗費たる飲食費などは、会社がそれを負担し費用として計上することに妥当性があるのかという考えが根底にあるが、人と人とのコミュニケーションを円滑にすることは、仕事をしていくにあたりとても大切なことでありそのための費用で常識の範囲内(いわゆる社会通念上)であればそれを認めていこうというのが課税庁側の妥協なのかもしれません。

 ただし同じ飲食であっても誰と飲食したかによって科目も変わるし、場合によっては経費として認められないケースもあります。

 例えば経営者が取引先と飲食した場合、これは接待交際費となります。では、一部の特定の従業員と飲食した場合は?この場合は社内飲食費という扱いで接待交際費となります。税務調査においては、誰と行ったという点に着眼すると、ここまではセーフ。問題は一人もしくは家族と行った場合でしょうか。レシートの人数が1名だったり休日ばかり交際費を使っているケースなどは疑われやすいので注意が必要です。課税庁側としては、ここで交際費を認定賞与扱いとすることを狙っていることは明白なのでくれぐれもその対応には気を付けたいものです。

 よく散見されるケースとしてこの飲食費が福利厚生費であったり、会議費であったりすることでしょうか。

 飲食費としての福利厚生費とはそもそも忘年会のような基本的に全従業員を対象であることが大前提で、一部の従業員たちが会社の将来について酒を酌み交わしながら語り合った費用は前述の通り社内飲食費にあたりますが、これも度を超えて度々計上されているようでは、給与もしくは認定賞与扱いになることも考えられることでしょう。

 酒でなくともコンビニでの買い物についてもついつい福利厚生費としてしまいがちですが、実は経営者個人の支出であることも多く散見され、あまり頻繁にコンビニ名が登場するようならば疑われやすいことは言うまでもありません。

 会議費という科目もとても便利な科目です。酒を飲みながら会議したと言い張れば上手く行きそうですが、ここもしっかりとひとり5000円以下かつ社外の人間がいることという縛りがあり、前提はお茶、もしくは弁当なのでしょう。居酒屋で会議することもあるのでしょうが、課税当局としても本来それを想定しておらず、トラブルのもととなりかねませんので安易に考えない方がよろしいかと思います。

 会議というと社内の人間だけというイメージがありますが社内の人間だけでの会議を居酒屋で行った場合は、これも上述の通り社内飲食費として接待交際費扱いとなります。

 交際費については800万という枠があるため会議費が交際費となったところで影響のない会社がほとんどかもしれませんが、税務署職員も(そこで立ち会う我々も・・・)うすうすと「これは経営者の個人的支出だろう」と感じられることも多々ありますが、課税庁側がそれを立証するのもなかなか容易でないことから、程度によってはスルーされることがほとんどなのでしょう。ただし、やはりこれも社会通念上度が過ぎてしまうと、厄介なことになりかねないということも肝に銘じておきたいものです。

 埼玉本部 菅 琢嗣


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