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準確定申告についての概要(後編)

 前回は準確定申告において注意すべき論点についてまとめましたが、今回はその続きです。不動産所得のような毎年確定申告する必要のある方が亡くなった場合、準確定申告以上に気を付けなければならないのが、税務署への届出です。

 特に気を付けたいのが青色申告承認申請と簡易課税制度選択の届出ではないでしょうか。ともに期限内に届け出を出さないとその適用を受けることができないという点で細心の注意が必要となります。

 青色申告承認申請については、被相続人が生前青色申告の承認を受けていたかいないか、その事業を引き継ぐ相続人がその事業を引き継ぐ前から他の事業を行っていたか否かで届出の期日が異なりますが、その要件どおりにあてはめれば、さほど難解なことはありません。難易度からすると「入門編」といったところでしょう。

 その点、少々厄介なのが消費税における簡易課税制度の選択届出ではないでしょうか。相続によって事業を承継した相続人が簡易課税の適用要件を満たす場合、原則は相続のあった年の12月31日までに簡易課税選択の届出を出すことによって相続のあった年から簡易課税の適用を受けることが可能ですが、そもそも簡易課税の要件に当てはまるかだとか、納税義務があるかどうかの判断が、被相続人の基準期間のみならず、事業を承継する相続人が相続発生前に他の事業を行っていた場合にはそこも絡んでくることからその判定は難解なものとなります。

次のような場合はどうでしょうか?例えば12月15日に相続が発生した場合、物理的に不可能ではないのでしょうが年末までに簡易課税選択の届出を粛々と提出できる状態ではないことは明白であり、このような場合には12月31日から遡り概ねその1カ月前までに相続が発生した場合についてその届出を翌年2月末までに提出することで、相続があった年から簡易課税の適用が受けることができます。

 届出関係以外にもそもそも納税義務があるかどうかの判断として例えば亡くなった方の事業を承継する相続人が複数いた場合はどうでしょうか?相続が発生した年の12月31日までに未分割の場合、その年の消費税について納税義務があるかどうかの判断は被相続人の基準期間における課税売上高を法定相続分に分けて各々判断することとなっております。 

 それではその翌年に遺産分割協議が成立した場合、その年の納税義務の判定は被相続人の基準期間において遺産分割協議どおりの持ち分に応じて判定されるのでしょうか?実はこの場合、東京国税局文書回答事例によると相続が発生した年に続き、法定相続分で納税義務を判定することも差し支えないとされております。もし、遺産分割協議通りに判定した場合と法定相続分で判定した場合で課税事業者になるかならないかの結論が異なる場合は、その判定に細心の注意が必要になることでしょう。

 この他にも稀なケースでは課税事業者選択届出であったり、不適用届出であったり相続が発生したことにより影響の出るものが多々ありますので個々の案件に照らし合わせながら検討及び判断が必要となります。

埼玉本部 菅 琢嗣


「キャッシュレス決済について」

今、巷で流行っているキャッシュレス決済によるポイント還元。正しくはキャッシュレス・消費者還元事業と言うようですが、弊所でも人によってやるやらないがはっきり分かれています。私は積極推進派で、以前からPayPayなどは使っていたので、お客様に使い方のレクチャーを求められたりもします!! そのキャッシュレス決済を特にコンビニ等で行った時、よくよくレシートを見てみると、「還元」という表記と「値引」という表記があることがわかります。 実はこの2つ、消費税の処理方法が異なってきますので正しく処理していきましょう。国税庁が公表した「即時充当によるキャッシュレス・消費者還元に係る消費税の仕入税額控除の考え方」によると、 「還元」の場合は、還元される前の金額が仕入税額控除の対象で、「値引」の場合は、値引後の金額が仕入税額控除の対象となるということです。 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/
pdf/0019011-044_02.pdf
少しややこしいですが、消費者にとってはありがたいポイント還元。予算が足りないなんて声も聞こえてきますが、長く続けてもらいたいものです。 池袋本部 木村


準確定申告についての概要

 不動産所得のある地主さんのように毎年確定申告をしている方が亡くなった場合、その年の1月1日から亡くなった日までの所得について、亡くなった日から4カ月以内に確定申告をする必要があり、これを準確定申告といいます。

 準確定申告については、基本的には確定申告と変わりはないのですが、少し注意が必要な点がありますので、ひとつずつを検証してみます。

①家賃収入はどこまで計上すべきか?

 原則は例えば11月13日に亡くなった場合、通常11月分家賃について10月末が支払い期限であることがほとんどで、この場合10月末までに受領した11月分家賃までが準確定申告の収入金額となります。

 ただし、継続記帳等の一定要件を満たせば13日までの日割計上した家賃分について準確定申告とすることも可能です。

②必要経費となる固定資産税はどこまで計上できるか?

 前提として固定資産税は、毎年1月1日現在の所有者に対して賦課されるものですが、納税通知書が送られる前に亡くなった場合、準確定申告の必要経費には算入することはできません。

 何となくその年の1月1日に支払義務が確定されているように感じますが、あくまでも1月1日は課税される者が確定されるだけで、その時点で納税義務は確定しておりません。

相続開始前に納税通知書が送付されている場合は、全額でも納期到来分でも納付済み分でも必要経費とすることが可能で、その固定資産税が賦課された財産を相続により取得した相続人がその後、確定申告する際は亡くなられた方が必要経費とした分以外の固定資産税が必要経費となります。いわゆる裏表の関係です。

③扶養控除について

 扶養控除については、意外と弾力的な扱いとなっており、例えば年の途中で亡くなられた方の扶養となっていた子は、準確定申告にあたって扶養控除の要件を満たしていれば控除でき、さらに確定申告においてもその子は、扶養控除の要件を満たしていれば亡くなられた方の配偶者の扶養控除の対象にもなることができ、年間で重複して扶養控除の対象者となることができます。

 逆に年の途中で亡くなられた方についても要件を満たしていれば扶養される側として扶養控除の対象となります。本来の要件はその年の12月31日の現況なのですが、亡くなられた場合は、亡くなられた時点までの扶養の事実によって決まりまるためです。

④翌年の住民税は?

 所得税については、亡くなった年の収入についても課税されるのですが、住民税についてはその年の課税についての賦課期日は、翌年1月1日現在で判定され、その時すでに亡くなっていることから住民税については課税されません。

 極端な話、亡くなった年に10億円の長期譲渡所得があった場合でも5%の住民税分5000万円は課税されないこととなります。

以上、準確定申告についていくつかの論点について検証してみました。

埼玉本部 菅 琢嗣


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