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相続時精算課税制度の見直しについて

 令和5年度の税制改正で相続時精算課税制度の改正が行われました。今までは使い勝手が悪く利用率が低迷していましたが、改正によって改善されています。

  • 相続時精算課税制度に年110万円の基礎控除が創設
  • 贈与額が年間110万円以下であれば申告不要

 現状は相続時精算課税制度を選択すると贈与の都度申告が必要でしたが、年間110万円以下の場合には申告が不要となりました。

  • 相続財産に加算する範囲

 改正前においては相続時精算課税適用後のすべての贈与財産が、相続時に相続財産として課税されましたが、改正後は基礎控除分(年間110万円)を相続財産に加算しなくてよくなりました。

 相続時精算課税制度の110万円控除と暦年贈与の基礎控除110万円は別枠となりますので、相続時精算課税制度を適用した贈与者以外からの贈与では暦年課税が適用可能です。

 有利な改正となり使いやすくはなりましたが、ベストな選択になるかはご自身の財産状況によっても異なってくるので、よく検討が必要です。

 興味・質問等ございましたら、ぜひ税理士法人優和までご相談ください。

東京本部 有本


電子帳簿保存制度の見直し

 令和5年度税制改正により電子帳簿保存制度の見直しがされました。見直しの内容はいくつかありますが、皆様方が関心が高いと思われる事項をご紹介いたします。

 まず、「電子取引情報の検索要件の見直し」です。改正前では税務調査時にダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合、必要とされていた検索要件ですが、以下のように緩和(不要と)されました。

  • 2年(期)前の売上高が5,000万円以下(改正前1,000万円以下)である事業者
  • 電子データの出力書面の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている保存義務者

 上記事業者は、改ざん防止措置(取扱規定等)は必要ですが、電子データを検索できる 状態にして保存する必要はなくなりました。(②の事業者は紙の保存は必要です)

 次に、「新たな猶予措置」が創設されました。税務署長が相当な理由があると認める場合、以下の事業者は電子データを保存した上で紙の保存が認められました。

  • 税務調査時にダウンロードの求めに応じることができるようにしていること
  • 電子データの出力書面の提示又は提出の求めに応じることができるようにしていること

 上記事業者は、改ざん防止措置と検索要件も不要となります。

 具体的な適用事例などは今後公表されるものと思われますが、いずれにせよ電子データの保存はすべての場合においても必須ですので、今のうちに保存方法について再検討いただくといいかと思います。

 法律上要請される電子データの保存ですが、これをきっかけに会計業務の効率化まで検討いただくのが本来の趣旨かと思います。効率化に興味がございましたら、是非、税理士法人優和までご相談いただければと思います。

東京本部 木村


雑所得と事業所得について

 今年も確定申告の時期となりました。
 最近では会社勤めの方にも副業が認められるケースが増え、給与以外の収入が発生する方も多くなって来たのではないでしょうか。

  副業が雑所得の場合、(副業)所得が20万円以下の場合は申告不要となるケースがほとんどですが、事業所得なる場合があります。
 どちらに分類されるかについては、昨年10月に『「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)』が公表されています。

 事業所得は給与所得等と損益計算が可能ですが、事業の実態がない副業から生じる損失を赤字の事業所得とし、給与所得等と損益通算することで納税を不当に回避する事案が問題となっていました。
 そこで改正基本通達(所基通35-2)では「その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうか」で判定するとともに、「その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存」をしていれば、概ね事業所得に該当するとしています。

 ただし同日に『雑所得の範囲の取扱いに関する所得税基本通達の解説』も公表されており、帳簿書類の保存等があっても、

①その所得の収入金額が僅少と認められる場合
②その所得を得る活動に営利性が認められない場合

は事業性を個別に判断するとしていますのでご留意ください。

京都本部 坂口


令和5年税制大綱

 令和5年税制大綱では電子帳簿保存法、インボイス制度、贈与税の改正や緩和など目玉となる項目が目立つものとなりました。

 電子帳簿保存法では優良電子帳簿の範囲の見直し、スキャナ保存の要件緩和、電子取引における検索機能確保等の要件を満たさない保存を容認。
 インボイス制度では中小事業者の少額取引に係る事務負担の軽減措置として売上5,000万円以下の事業者は課税仕入れ1万円(税込)未満の場合には帳簿の保存のみで控除が認められるようになります。

 上記のような緩和が目立つ一方で
 贈与税では生前贈与加算が3年から7年に見直され、代わりに相続時精算課税と暦年贈与の併用が可能となりました。
 これにより相続税対策においては新たに計画を練り直す必要が出てきます。

 さらに政策として投資を推進するためNISAも改正され、年間投資上限が120万円(一般NISA)または40万円(つみたてNISA)だったものが統合され最大360万円となります。

 その他にも防衛費を確保するという理由から法人税及び所得税に追加の課税をかける予定であり、今回の税制改正大綱は政策的側面の改正も多く盛り込まれ波紋を呼んでいます。

 税理士法人優和では税制改正大綱など最新の情報を収集及び発信していきますので何かございましたらご連絡お願い致します。

京都本部 近藤


インボイス元年

今年からついにインボイス制度が始まります。

皆様、既に登録はお済でしょうか。
期限が令和5年3月31日までと迫っております。
期限経過後であっても、一定の条件により登録をすることはできますが、
お取引先様からの確認も増えていること、直前になると混雑してしまう恐れ等から早めのご登録をお勧めいたします。

先日公表された税制改正大綱により、
これまで免税事業者であった者がインボイス発行事業者となった場合、
消費税納税額を売上税額の2割に軽減する3年間の負担軽減措置が新たに創設されました。

免税事業者の場合、事業者ごとに取引内容や相手先事業者との関係性、軽減措置等、様々な要素を鑑みた検討を行う必要があります。
専門的な部分もありますので迷われている方は是非ご相談ください。

今年が皆様にとって飛躍の年となりますように!
より多くの方のお力となれますよう、一同一丸となって精進いたしますので、
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

茨城本部 渡辺


ふるさと納税の納税方法とお得感!

 よくお客様からのふるさと納税の質問で多いのが「どうやって購入するの?」

「本当にお得?」「2,000円は自費なんだよね?」ということが多いです。

 意外にふるさと納税の制度については知っているが、そもそもふるさと納税のやり方を把握していない方が多いです。

 そこでふるさと納税の仕方について説明すると楽天やヤフーで物を購入する感覚で商品名に「ふるさと納税」と銘打っている商品を購入すればふるさと納税は可能です。

 さらにヤフーや楽天はポイント〇倍といったセールをやっていることがあります。

 なので、寄付金額によりますが、得られるポイントだけで、2,000円を超えることが多々あります。

 結論としてふるさと納税はポイントが得られるサイトで購入しかつもらえるポイントが2,000円を超える場合、実質、自費を払わず返礼品をもらえるのみならずポイントももらえるというお得感があります。

 ふるさと納税をお得に行いたい場合は是非税理士法人優和にご相談ください。

茨城本部 大河原


副業300万円以下は雑所得?

 先ごろ国税庁が「業務に係る雑所得の例示」として、基本通達案を公表し、意見を公募しました。それは「事業所得と業務に係る雑所得の判定は、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定するのであるが、その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が300万円を超えない場合には、特に反証のない限り、業務に係る雑所得と取り扱って差し支えない」というものです。つまり、年収300万円以下の副業は原則として雑所得としますということです。

 もし雑所得と判断されると

  • 副業が赤字でも他の所得と損益通算できない
  • 副業が雑所得ならば青色申告を使って赤字を3年間繰り越すことができなくなる
  • 副業が雑所得ならば青色申告を使って青色申告特別控除が最大で65万円適用できなくなる
  • 30万円未満の減価償却資産の特例が使えなく、一括で経費にすることができない

 となり、損益通算や青色申告のメリットが少なくなってしまいます。

 改正の理由としては、本業以外の副業を営んでいた場合、副業の赤字と本業の所得(会社員であれば給与所得)を合算して税額を圧縮計算する節税スキームの防止です。

 しかし老後2000万円問題など、ゆとりある老後のためには自助努力が必要です。そのため政府も兼業・副業の拡大を後押しし、副業を認めている企業も増加している現状に、逆行するような改正案です。案の定、一律に300万円は高い、どのような所得が主たる所得に該当するか不明確などの相当数の意見が寄せられ、以下のように通達案が改正されました。

 「事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。なお、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(その所得に係る収入金額が300万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く。)には、業務に係る雑所得に該当することに留意する。」

 つまり、本業か副業で区別するのではなく、記帳・帳簿保存の有無で区別することにし、記帳・保存があれば原則引き続き事業所得となります。

 ただし、記帳・帳簿保存をしていればすべて事業所得になるわけではなく、以下の場合には個別に判断するとしています。

  • その所得の収入金額が僅少と認められる場合

 副業収入が300万円以下で主たる収入に対する割合が10%未満の場合で、例えば給与収入600万円、副業収入30万のケースです。

  • その所得を得る活動に営利性が認められない場合

 副業の所得が例年赤字で、かつ、赤字を解消するために営業活動などで収入を増やすなどの努力をしていない場合などのケースです。 以上より、赤字副業の過度な節税スキーム等は見直され、従って事業所得と認められるためには、収入金額を上げる努力をして、記帳保存が必須となるといえます。

埼玉本部 瀬島 通予


改正電子帳簿等保存制度について

 令和4年1月1日より開始(令和5年12月31日まで猶予期間あり)した電子帳簿等保存制度いわゆる電子帳簿保存法ですが、皆さん準備は進んでいますか?

 今回は、何となく後回しになっていると思われるこの制度について簡単に概要をまとめ、最低限どのような状態でなくてはならないかを整理してみました。

 そもそもこの制度は、税務調査を念頭にした帳簿等の保存の仕方について、数十年前までは想定できなかった紙以外での帳簿等の保存についてのルールを明文化したもので、紙以外とは概ねパソコン、スマホ等を介したものという解釈で問題ないかと思います。

 制度を大きく2つに分類すると、

  • 電子データ保存を容認する制度(紙の書類の廃棄を容認する制度)→主に(2)
  • 電子データ保存を義務づける制度に分類されます。→主に(3)

 そして、帳簿については概ね

(1)会計ソフトを利用した仕訳帳、総勘定元帳、財務諸表、請求書控

(2)紙での請求書、領収書

(3)電子メールやアマゾン、楽天等のECサイト等による請求書、領収書

といった(1)~(3)の3区分に分類されます。

 まず、(1)については市販の会計ソフトを使用している場合は、そのままの保存方法で問題ありません。総勘定元帳を紙で保存しても構いませんし、そのまま会計データとしてパソコンに保存している状態でも問題ありません。(2)については、今まで紙で保存していたものをそのまま紙保存の場合は問題ありませんが、保存スペース等の観点から紙保存をなくしてスキャナでの電子データとして保存したい場合は、少々制約があります。

 スキャナ保存をする際、タイムスタンプを付す方法とパソコン及びUSB等に保存する方法があり、タイムスタンプを付す場合は1枚10円程度の費用がかかることから枚数によってはあまり現実的でないように思われます。パソコン等に保存する場合、「日時」「金額」「相手先」で検索が可能なように整備することが条件となります。当然、税務署の調査を念頭に置いたもので、税務署職員が紙書類の保存時と同じように調査しやすいようにしておくことが求められます。

 (3)については、逆に紙での保存ができなくなります。今までは電子データを紙で保存しておりましたが、今後は紙データのスキャナ保存と同様にタイムスタンプの付与もしくはPDF等でパソコン及びUSB等に「日時」「金額」「相手先」を検索できるように保存することが求められます。

 (2)(3)の電子保存の場合、改ざん防止のために2カ月と概ね7営業日以内にデータを保存することが義務付けられますので、会計帳簿と同様にタイムリーに作業することが必須となります。その他としては、税務署職員がスムーズに調査することができるように事務処理規程を常備することが条件となります。

 これらの条件を満たさない場合、最悪、青色申告の取り消しなどもあり得ますが、今まで通り紙での保存のままでいいという場合は(3)のみ気を付けていれば事足りることでしょう。また、今後なるべく紙での保存をやめたいという場合は(2)のスキャナ保存についても(3)同様の保存方法が必要となります。

まとめると、基本的には今までの帳簿保存の方法で事足りてしまいますが、電子メールでの請求書等については、紙での保存ができなくなることぐらいですので電子メールでの請求書等がない場合、今までと何も変わらないという会社も多々あるかと思われます。

 先ずは簡単な概要を理解してから会社として最善な方法を模索し、確立させていけばよいと思われます。

埼玉本部 菅 琢嗣


居住用賃貸建物の取得等に係る消費税の仕入税額控除制度の適正化

 表記については少し前(令和2年4月改正)の項目でありますが、重要な項目であり、また建物等に係る建築等が長期にわたる場合があり、今後も注意すべき点や例外規定等があるので取り上げていきたいと思います。

  • 居住用賃貸建物の取得等に係る仕入税額控除の制限

 事業者が、国内において行う居住用賃貸建物(住宅の貸付の用に供しないことが明らかな建物以外の建物で高額特定資産又は調整対象自己建設高額資産に該当するもの)に係る課税仕入れ等の税額については、仕入税額控除の対象としないこととされました。

 この規定は令和2年10月1日以降に行われる居住用賃貸建物の課税仕入等の税額について適用されますが、下記のような経過措置があります。

 令和2年3月31日までに締結した契約に基づき令和2年10月1日以降に行われる居住用賃貸建物の課税仕入れについては、上記の制限は適用されません。すなわち、令和2年3月31日までに契約が成立していれば従来通り課税仕入れ等の控除ができるということです。

  • 居住用賃貸建物の取得等に係る消費税額等の調整

 上記(1)の居住用賃貸建物の取得等に係る仕入控除の制限の適用を受けた居住用賃貸建物について、次のいずれかに該当する場合には、一定の算式で計算した仕入税額控除額を調整(加算)する必要があります。

  • 第三年度の課税期間の末日にその居住用賃貸建物を有しており、かつ、その居住用賃貸建物の全部又は一部を調整期間に課税賃貸用に供した場合
  • その居住用賃貸建物の全部または一部を調整期間に他の者に譲渡した場合

 ここでは紙面の都合上細かい語句の説明や、計算式等は割愛させていただきますが、消費税に関しては誤りが多く、度々改正が行われている項目であるため、上記に関わらずご不明な点がありましたら税理士法人優和まででご相談ください。

東京本部 佐藤


インボイス制度における仕入先、下請業者への対応

 令和5年10月より消費税のインボイス制度が始まります。顧問先様から取扱いなどについて様々なご質問があると思います。すでに私の顧問先様でも主に仕入先や下請業者への対応についてご相談があり、いよいよインボイス制度が始まるのだと実感しております。さて、よくいただく具体的なご相談ですが、仕入先や下請業者がインボイス発行事業者になるか否かのリサーチ方法やその後の対応に関することがもっとも多いです。ここでは、仕入先や下請業者がインボイス発行事業者とならなかった場合の取引価格の取扱いについて記載いたします。

 仮に、仕入先や下請業者がインボイス発行事業者とならなかったことにより、買手である顧問先様が取引停止等をすると法律違反となる恐れがあります。インボイス発行事業者にならかったことを契機に仕入先や下請業者と取引条件を見直すこと自体は、直ちに問題となりませんが、買手という「優越的地位の濫用」をしてしまうと法律違反となってしまいます。

 ここで、ポイントとなるのが、買手つまり顧問先様自身による一方的な価格の引下げや設定等を行うのではなく、協議のうえ双方が納得して行う適正な価格交渉です。

 例えば、取引価格の話合いが形式的なものにすぎず、買手の都合のみで著しく低い価格を設定、または今後の取引を打ち切ることを匂わせた半ば脅迫ともとれる行為は法律違反となります。こういった取引価格の引下げのほか、インボイス発行事業者にならなかったことを起因とした仕入先、下請業者の商品や役務の成果物の受領拒否、若しくは返品などをした時も同様に問題となりえます。

 なお、企業間でどういった契約、取引を行うかは原則として自由であり、合理性があるといえるような取引価格であれば通常は問題視されないと思います。買手の地位などを利用した一方的な価格設定等を行うことがないよう、仕入先や下請業者、双方納得のする話合いをすることが肝要と考えます。

 ここでは、買手であり課税事業者である顧問先様について記載しましたが、もちろん売手である顧問先様についてもインボイス発行事業者になるべきか否か検討することが必要です。例えば、対象顧客が一般消費者であり年間売上1,000万円以下の飲食店であればインボイス発行事業者とはならず免税事業者のままを選択することにより消費税の納税義務はこれまで通り発生しませんし、例えば、個人事業主として建設業を営み、免税事業者である一人親方の場合は、元請から価格交渉について買いたたきにあわないよう身を守る必要があります。今後始まるインボイス制度についてお困りがございましたら税理士法人優和までご相談ください。

東京本部 井上賢亮


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